企業が行う取引を含め、日本でなにか取引をすると大抵のケースで消費税が課税されます。
しかし一部の取引では消費税が免税、つまりかかりません。
輸出免税取引が代表的なのですが、この輸出免税取引とはどういう仕組みになっているのでしょうか?
輸出免税取引について、また会計処理の方法などを解説していきます。
輸出免税取引とは?
輸出免税取引とは、文字通り輸出取引において生じた消費税については、納税が免除されるというものです。免除されているだけで、厳密に言うと輸出取引自体は課税対象で、本来なら消費税を支払う必要があります。
その支払いを免除しているだけで、そもそも課税対象になっていないわけではありません。
消費税の支払いが不要だと覚えておくだけでも良いでしょう。
ではなぜ輸出だと消費税が免除されるのでしょうか?
これは消費税の定義に関わっています。
消費税というのは日本の中でモノやサービスが消費されて発生する税金です。
けど輸出の場合、モノやサービスが消費されるのは日本国内ではなく海外のため消費税の対象にすべきではないとされ、支払いも免除されるわけです。消費税は国内取引にかかる税金というのがポイントです。
輸出免税取引の場合、会計処理はどうなる?
消費税の支払いが免除される輸出免税取引ですが、会計処理上はどうすれば良いのでしょうか?
実際に輸出するとして考えてみましょう。
まずは輸出するための商品を仕入れる必要があります。
国内のある企業から10万円の商品を仕入れるとします。
相手は国内の企業ですから、仕入れは国内取引となり消費税10%が発生します。
そのため仕入れでは商品代金10万円と、消費税1万円がかかります。
次に仕入れた商品を海外に輸出・販売することになります。
15万円で販売するとして、相手は海外の企業や人ですから消費税はかからず、消費税の請求はしません。
そのため売上は代金の15万円のみです。
これが輸出免税取引の会計処理でのおおまかな流れです。
仕入れの段階では消費税を支払っているのに、輸出する時には消費税の請求を行っていません。
これでは差額が生まれてしまいますが、この消費税によって生まれた差額分は後で還付してもらえます。
消費税の還付手続きについて
輸出免税取引では、仕入れは国内で行うため消費税が発生し、売上先は海外のため消費税が発生しない状態になってしまいます。
そのため消費税を支払っているのにその分を受け取れず、差額が出る結果になります。
この差額は後で還付してもらうことが可能で、その手続きについても知っておきましょう。
輸出取引で消費税の還付をしてもらうためには輸出取引したことを証明しないといけません。
輸出許可証をはじめ、取引相手との契約書など、間違いなく海外への輸出が行われたことを示す書類が必要となります。
こうした書類は必ず作成することになるため、大切に保管しておいて還付手続きの時にすぐ提出できるようにしておきましょう。
もし書類を紛失していたり、書類の内容に不備があったりすると還付が認められません。
書類の作成や保管に関しては、輸出を行っている企業であれば厳重にしているはずなので、特に問題ないでしょう。
書類を揃えたら確定申告の際に一緒に提出します。
また、還付を受けるためには課税事業者である必要もあるため、もし課税事業者になっていないのであれば、平行して課税事業者への登録手続きも行うことになります。
また国税庁より消費税の還付申告に関する明細書をダウンロードできます。
還付金はいつ戻ってくるのか?
消費税の還付は確定申告の時に一緒に行います。
明確にいつお金が戻ってくると決まっているわけではありませんが、確定申告を済ませてから1ヶ月後くらいが多いようです。
税務署としても事務作業や確認作業などがあるため、手続きをすればすぐに還付金が受け取れるというわけではありません。多少の時間がかかります。
還付金は指定口座へ振り込まれるか、郵便局・ゆうちょ銀行で直接受け取るかを選べます。
どちらの方法でも大丈夫ですので、還付金が戻ってきたら受け取ります。
これで支払う必要のなかった消費税が手元に戻ってくる形です。
先程も紹介しましたが消費税の還付が受けられるのは仕入れの時に国内から購入していて、消費税を支払っている場合のみです。このケースに該当しなければ消費税の支払いも発生しておらず還付金もありません。
一般的な還付金については下記URLも参考にしてください。
まとめ
海外への輸出取引では消費される場所が海外のため消費税が免除されます。
課税対象だが支払いが免除されているのがポイントです。
仕入れの段階では消費税を支払っているケースもありますが、この場合は後で還付金として支払った分が戻ってきます。
確定申告の際には消費税の還付手続きも忘れずに行いましょう。
申請しなければ還付金は戻ってきませんので、必ず手続きを済ませる必要があります。